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2022/02/10 17:26


い草を染色したものを織り上げる「花ござ」ですが、福岡県柳川市、岡山県倉敷市、熊本県八代地方など有名な産地がいくつかあります。しかし、産地による花ござの違いを説明できる人は多くありません。

今回は、花ござの産地による違いとその歴史について書いていきたいと思います。



地域による品質の差はない


はっきり申し上げますと、花ござを生産する地域のみに起因する品質や柄の地域差というものはありません。

花ござの品質は、生産される地域よりも、花ござを作る織元の技術や花ござの元となるい草の品質に左右されるものだと言えるでしょう。 地域による品質の差はなくても、そこに花ござが根付いていった歴史には違いがあります。 その歴史を簡単にご紹介しますね。

花ござと岡山県倉敷市


岡山県には倉敷市と岡山市早島町という花ござの有名な産地があり、花ござを語る上で岡山を欠かすことはできません。 というのも、花ござに不可欠な「い草の染色方法」と「精巧緻密にい草を織る技術」の礎を築いた磯崎眠亀(いそざきみんき)の出身地であるからです。磯崎眠亀が発明した綺麗な模様をした花ござ「錦莞莚(きんかんえん)」の誕生をきっかけとして、明治時代後期に花ござは日本の重要な輸出品の一つとなっていきました。 また、岡山県倉敷市の工業地帯「水島コンビナート」のエリアは、元々い草の有名な産地の一つでした。粘り気と長さのある良質ない草の栽培には塩分やミネラルが必要で、埋立地である水島の土地はその条件にぴったりだったんですね。

花ござと福岡県柳川市


本ショップ松正の所在地、福岡県柳川市もまた花ござの有名な産地です。35年前までは、福岡県柳川でもい草の栽培が行われていました。京都から全国行脚していた僧侶大正院が、16世紀末にい草の栽培方法を伝えたとされています。 江戸時代後期には筑後で育った茣蓙商達が長崎港でオランダ人・ポルトガル人をターゲットに花ござを売り込むようになり、花ござの輸出が始まりました。 花ござは輸出品の一つとして日本での地位を確立していったという点と、原料となる良質ない草の栽培には塩分やミネラルが必要という点で、花ござと海は切っても切れない関係にあると言えるでしょう。 余談ですが、福岡県には当県のい業のシンボルである「福岡県い業会館」という建物があり、昭和24年に昭和天皇が巡幸で訪れています。昭和天皇がわざわざいらっしゃるくらい、花ござは地域に根付いた文化なのです。

花ござと熊本県


熊本県八代地方でも花ござ生産が行われているのですが、熊本県というのは花ござとの関係においてそれ以上の意味を持っています。現在日本国内で生産されているい草の90%以上が熊本で作られているからです。

もちろん、国産い草100%の花ござを供給している「松正」も、熊本産のい草を使用しています。

花ござの原料「い草」生産と中国


現在、熊本産い草と並んで花ござの原料として使われているのが、中国産のい草です。平成初期に中国が「世界の工場」となっていく流れの中で、人件費の安さなどを理由にい草の生産も中国で行われるようになりました。

最初は中国のい草と日本のい草で作られた商品はどちらも同じ場所で同じように売られていたため、値段の安い中国産い草を使用した商品が選ばれた結果、日本産い草は価格競争に負けていってしまいました。

国産い草と中国産い草の違いについては別の記事がありますので、そちらをご覧ください!

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました!
本ショップ「松正」は、70年以上の歴史を持つい草の織元で、100%純国産のい草を使って商品を作っています。
「安心して国産のい草製品を選びたい!」という方や、「い草ラグ選びで失敗したくない!」という方には、本ショップの製品がおすすめです!


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