Blog い草・福岡花ござ専門メディア

2021/07/09 17:43

色鮮やかで、古風な絵柄からモダンな絵柄まで様々な製品が存在する花ござですが、実はその1枚1枚が職人の手作り。今回は、そんな花ござができるまでの過程を紹介します。
花ござ職人のすごさを感じること間違いなし!

記事の最後に花ござの作り方を紹介する動画を添付しておりますので、動画で見たい!という方は下にスクロールしてみてください!

1.デザインデータを作る

花ござを織るために、まずはどのようなデザインのものを作るのかを考えます。ここから良い花ござを作る勝負は始まっているんです!
絵柄や配色などのデザインイメージが決まったら、次に花ござの図案制作会社(意匠屋)にデータ化を依頼します。い草と糸を編み込んで織る花ござは糸織物とは異なり、予めい草の性質を踏まえた上で、織機にセットするデータを作製するのです。細かすぎるデザインはい草では表現できないため、デザインによってはい草ではなく糸を巧みに操って表現することもあります!

最後の出来上がりは職人でも「織ってみないと分からない」のが花ござの奥深さで、新しいデザインデータを作るのに、約1ヶ月はかかります。また、この時に経糸の数や使用するい草の長さによって、織機の仕様が大幅に異なる為、織機仕様書もあわせて作製します。

2.い草を染色する

花ござとは色鮮やかない草製品のことを指しますが、もちろん い草が最初からカラフルなわけではありません!

色鮮やかない草を作るためには、 い草を染色しなければなりません。
約300Lの水と染料を回転釜に入れて沸騰させ、焚き込みと蒸し上げを約20分繰り返し行った後、8時間ほど乾燥機にかけます。1回あたり約10kgのい草の染色が可能です。
染色のバリエーションは80色がベースとなり、組み合わせ次第で無限に色を作り出すことができます。

この染色の作業は染色工房にて行われるのですが、福岡県には現在3件しか存在しなくなってしまいました。各工房にそれぞれ得意な色があるため、染める色によって依頼する工房が変わります。

うーん、染色だけでもかなり手がかかっていますね...!
しかし、これはまだまだ序の口。ここからが本番です!

3.染めたい草を加湿する

染めたい草を織機にかけたいところですが、その前にい草に水分を含ませる必要があります。
い草の中心部はスポンジに似た繊維でできていて、水分を含ませる事で表皮が柔らかくなり、織機で織り込む際に い草が折れにくくなるんです!


4.い草を選別する

加湿が終わった い草はさっそく織機にかけたいものですが、まだかけられません。
実は、染めたい草の中に折れているものや枯れているものが混じっていることがあり、それらを一本一本人の手で除去する必要があります。
選別が終わった後は、良質ない草のみの束が出来上がるというわけです。


5.織機のサイズに合わせ、い草を裁断する

良質な い草の束を、織機の織り幅に合わせて裁断します。
本間(幅95.5cm)、江戸間(幅87cm)、ザブトン(幅70cm)など様々なサイズがありますが、各々のサイズより約10cmほど長く裁断し、織機にセットします。


6.織機にて花ござを生産する

織込花筵織機にデザインのデータを読み込ませ、試運転した後で本番生産スタート。織機1台の1日あたりの生産量は、約畳10枚分(約18m)ほどです!
ところで、「織込花筵織機」の漢字の読み方、分かりましたか?これは「おりこみかえんおりき」と読みます。難しいですね。花筵とは訓読みで「はなむしろ」と読み、花ござのことを指します。


7.仕上げ・品質チェック

織り上がった花ござ全てを、人の目で確認し手作業にて仕上げを行います。い草は農産物なので、1本1本が不均一。い草の飛込みや途中切れを見つけた場合、千枚通しや糸切鋏を使って補修します。
確認が終わった後は、馬毛のブラシでブラッシングし、余分な染土を落として光沢を出します!


8.花ござを乾燥させる

織り上がった花ござは水分を含んでいます。手順2で加湿した水分が抜けきっていないからです。
その水分を抜くため、裏面を半日ほど天日干して乾燥します。裏面を干す理由は、表面を天日干しすると紫外線で日焼けを起こし、色が変わってしまうからです。


9.花ござの原反が完成!

これにて花ござの原反が完成しました。原反はその用途に合わせ、敷物ラグ、座布団、インソール、ユニット畳など、様々な花ござ製品に加工されていきます!


▼花ござができるまで(YouTube)

動画で花ござの作り方を見たい方は、以下からご視聴ください!


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いかがだったでしょうか?
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